業務体制の構築
平成23年4月11日 山形地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 当時の裁判例や学説等により適法であると信ずるに足りる17条書面、18条書面を適時に交付する業務体制を整備していたとしても、そのことは、みなし弁済規定の適用があるとの認識を有し、かつ認識を有するに至ったことについてやむを得ない特段の事情にはあたらないと判示した。また、昭和58年11月1日以前に始まった第1基本契約に基づく取引は、そもそも貸金業法43条1項の適用がない、第2基本契約についても、被告と提携関係にあるATMを利用しての取引であり、当該ATMからは、被告の主張する様式の17条書面、18条書面は発行されていなかったとして、上記特段の事情は認められないと判示した。
- 業者名:
- プロミス株式会社
平成23年3月29日 福岡地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 最高裁平成11年1月21日判決(民集53巻1号98頁)の言渡しより前の時点においても、みなし弁済の成立要件としての18条書面の交付については、銀行振込の方法により弁済を受ける場合にも、弁済者の請求の有無を問わず、これを交付すべきものと解するのが下級審裁判例及び学説の多数説であったと判示し、被控訴人が銀行振込による弁済の場合に18条書面を交付しなかった以上、みなし弁済規定の適用があるとの認識を有し、かつ認識を有するに至ったことについてやむを得ない特段の事情があるとはいえないとした判決。
- 業者名:
- CFJ
- 原審判決:
- ・・・
平成23年3月25日 名古屋地裁一宮支判
- 要旨・解説:
- 被告は、取引にかかる借入及び返済のすべてについて17条書面もしくは18条書面の各控えを提出していないので、これらの書面を交付する業務体制を構築していたことは少なくとも明らかにしておくべきところ、これを認めるに足りる証拠はない、また、被告が交付した書面はいわゆる厳格説ではなく、緩和説に基づくものと考えられるが、最高裁判所の判断が厳格説で定着していく過程において、書式の改訂を重ねる必要があったと考えられるところ、このような対応をとっていたと認めるに足りる証拠もないと判示し、特段の事情を認めるに足りないとした判決。
- 業者名:
- CFJ
平成23年2月23日 水戸地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 特段の事情の立証について、17条書面及び18条書面を交付する一般的業務体制を構築していたことの立証のみでは、被告が個々の原告らの弁済につき貸金業法43条1項の適用があると認識したことについてやむを得ないといえる特段の事情があるということはできないとした判決。
- 業者名:
- アイフル
平成23年2月17日 水戸地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 被告が、特段の事情の立証として、17条書面及び18条書面のサンプル(提携ATMでの取引及び振込による取引の場合を除く)並びに本訴提起後になって新に作成した再発行伝票なる書面を提出していたのに対し、17条書面及び18条書面の交付は貸金業者である被告において立証すべき事項であって、立証の程度を緩和すべき例外的事情はない等として、業務体制についての一般的、抽象的な立証のみでは各原告に対する貸付け及び弁済の都度17条書面及び18条書面を交付していたとは認められず、特段の事情があると認める余地はないとした判決。
- 業者名:
- アイフル
平成23年2月8日 鳥取地方裁判所米子支部判決
- 要旨・解説:
- いわゆる最高裁平成18年判決以前においても、少なくとも、17条書面及び18条書面を貸金業法の規定どおりに交付していた事実を主張・立証しない限りは、悪意の受益者であるとの推定は免れないとした上で、立証の程度としては、上記各書面を交付する業務体制をとっていたとの一般的立証では足りず、契約書、事後的に復元したご利用明細書兼領収書、現実に原告に交付したご利用明細書兼領収書5通、金銭消費貸借基本契約証書兼告知書2通の提出だけでは、本件取引のすべての貸付と弁済につき、被告が原告に対し17条書面及び18条書面を貸金業法の規定どおりに交付していたと認めるに足りないとして、特段の事情を認めることはできないと判示した。
- 業者名:
- アイフル
平成23年1月31日 さいたま地方裁判所川越支部判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、被告の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥し、各取引に即して個別具体的に主張、立証する必要があると判断し、取引毎に個別具体的な主張、立証をしていない被告は悪意の受益者であるというべきと判断した。
- 業者名:
- アイフル
平成23年1月21日 福岡高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- 上告審(上告人CFJ)。貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情の立証は、当該貸金業者の業務態勢にかかる一般的立証で足りるとの上告人の主張を排斥し、取引毎に個別具体的な主張、立証をしていない上告人を悪意の受益者であるとした原審判決を維持した。
- 業者名:
- CFJ
- 原審判決:
- ・・・
平成23年1月21日 大阪地方裁判所岸和田支部判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、被告の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥し、取引毎に個別具体的な主張、立証をしていない被告は悪意の受益者であると判断した。
- 業者名:
- CFJ
平成22年12月24日 神戸地方裁判所尼崎支部判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、被告の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥した上で、被告の17条書面に「返済期間及び返済回数」及び各回の「返済金額」の記載やそれに準じる記載がないことから、被告には「特段の事情」は認められず、被告は悪意の受益者と推定されると判断した。
- 業者名:
- アイフル
平成22年12月24日 さいたま地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、被告の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥した上で、被告提出の証拠からは、基本契約締結時に17条書面を交付した事実、当該書面の記載内容を認定できないとして、被告には「特段の事情」は認められず、被告は悪意の受益者であると判断した。
- 業者名:
- アイフル株式会社
平成22年12月16日 東京高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- 控訴人(CFJ)が、貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、当該貸金業者の業務態勢についての一般的立証で足りると主張したのに対し、控訴人提出の証拠(17条書面、18条書面として交付していた書面)は全取引の一部に過ぎず、顧客一般に対して17条書面及び18条書面を交付する業務態勢を構築していたことや、個々の取引に際して実際に17条書面及び18条書面を交付していたことを推認することはできないとして、控訴人は悪意の受益者であると判断した。
- 業者名:
- CFJ
平成22年12月10日 佐賀地方裁判所唐津支部判決
- 要旨・解説:
- 被告が17条書面及び18条書面を交付する業務態勢を整備していたと主張してサンプル書面を提出した事案において、サンプル書面は一般にそのような書式が使用されていたことを示すだけで、本件各包括契約時に同書式の書面が交付されたことを具体的に立証するものとはいえず、包括書面の交付及びその具体的内容が明らかでない以上、貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情は認められないと判断した。
- 業者名:
- アイフル
平成22年11月30日 高松高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、控訴人(CFJ)の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥し、取引毎に個別具体的な主張、立証をしていない被告は悪意の受益者であると判断した。
- 業者名:
- CFJ
- 原審判決:
- ・・・
平成22年11月22日 東京地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 被告が、貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情として、17条書面及び18条書面を交付する業務態勢の構築を主張したのに対し、被告が顧客に交付していた契約書や利用明細書は17条書面・18条書面としての記載要件を欠いており、また、当該書面が17条書面・18条書面の要件を充足していると認識した合理的根拠も認められないとして、被告には「特段の事情」は認められないと判断した。
- 業者名:
- プロミス
平成22年10月22日 東京地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、被告の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥した上で、被告は原告との取引の一部についての17条書面・18条書面しか提出しておらず、当該書面を交付していた事実が認められないこと、及び、17条書面の記載要件を欠いていることを理由に、被告には「特段の事情」は認められないと判断した。
- 業者名:
- CFJ
平成22年9月30日 東京地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 貸金業法43条の適用があるとの認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情の立証の程度につき、被告の業務態勢についての一般的な立証をすれば足りるとの主張を排斥した上で、被告は原告との取引の一部についての17条書面・18条書面しか提出しておらず、当該書面を交付していた事実が認められないこと、及び、17条書面の記載要件を欠いていることを理由に、被告には「特段の事情」は認められないと判断した。
- 業者名:
- CFJ