会員等の判決  ※会員が獲得した判決および会員外から当会に提供いただいた判決を掲載しています。  
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純粋残高無視計算

平成21年8月7日 札幌高等裁判所 判決

要旨・解説:
「法律上の原因の有無は、取引の結果、計算上元本が0となり、債務が消滅したにもかかわらず、弁済がされたか否かによって判断される。この判断を行うためには、一連の取引における過払金の計算において、貸付けの日及び金額、弁済の日及び金額が判明しなければならない。控訴人は、貸金業の登録業者であるから、継続的貸付契約に付随する信義則上の義務として、取引履歴を開示する義務を負っている。/・・一連の取引における過払金の計算において、個々の金銭消費貸借契約の契約書等の証拠により、貸付けの日及び金額、弁済の日及び金額が判明する程度に、具体的な金銭消費貸借契約の締結と金銭の授受を立証することができないときは、取引の冒頭が弁済により始まっているとの前提で計算することもやむを得ない。」として、残高無視計算を認めた判決(判タ1310号157頁にも登載)。
業者名:
SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)

平成21年6月15日 名古屋高等裁判所金沢支部 判決

要旨・解説:
貸金業者は、金銭消費貸借契約の付随義務として取引履歴の開示義務を負うが、この義務違反があり、その結果借主が貸付け(貸付年月日、貸付金額、弁済期、利息の約定を含む。)の事実を立証できない場合にまで、借主に貸付けの事実の主張立証責任を負わせるのは相当ではない、このような場合、借主から貸主への金員の交付(弁済)のみを主張立証すれば足り、これを争う貸金業者において、抗弁として、貸付けおよび貸付けに基づく弁済として金員の交付が行われたことの主張立証責任を負うものと解するのが相当である、として、残高無視計算を認めた判決。
業者名:
SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)

平成20年1月22日 大阪地方裁判所 判決

要旨・解説:
ニコスが、大手信販会社(及び与信会社)として、相当以前から大規模な営業を展開してたことは周知の事実であり、顧客管理のため取引に関する情報をコンピューター管理していたはずであり、そのようなニコスが単に10年という期間が経過したからといって、それ以前の取引履歴等の資料をすべて廃棄(ないし消去)したとは、容易に考えられないこと、
借主から取引履歴の開示請求を受けた時点で、貸付債権を有し、金銭消費貸借取引が継続中であるとの認識を有していたのであるから、なおのこと、取引継続中の顧客である原告との取引履歴を(一部とはいえ)破棄するとは考えられないこと、
ニコスは、貸金業法における登録業者であり、債務者からの取引履歴開示請求に協力する義務のあること、取引履歴開示に協力すべきニコスが、取引履歴を開示せず、本件取引の全体像が明らかになっていないこと等
の事情に鑑みれば、少なくとも事故の各貸付けの事実については、具体的な事実を主張立証して、これを明らかにすべきであると判示したうえで、
ニコスが、平成7年9月27日の残元金について、単にその額を開示するのみで具体的な取引に関する事実を何ら主張しない以上、残元金が存在しないものとして計算するという、いわゆる残高無視計算を肯定すべきとした判決。
業者名:
UFJニコス

平成19年8月9日 東京高等裁判所 判決

要旨・解説:
「控訴人は、両当事者間のそれ以前の取引、具体的な貸金債権の発生を主張立証して、被控訴人の主張する平成元年4月14日以後の被控訴人から控訴人への弁済が、被控訴人の主張するような平成4年10月5日以後の貸付金に充当されるものではない(他に充当されるべき未払利息や残元本がある)ことを明らかにして、反駁することが可能であり、貸付債権の管理に重大な関心を持つ金融業者である控訴人にとって、それは極めて容易なことであるはずである。/ところが、控訴人は、・・平成元年4月14日の取引後の被控訴人に対する融資残高を4万5782円と開示するにとどまり、その債権がどのような取引の結果生じたかについて一切明らかにせず、その発生原因を特定しようとせず、その特定はされていない。/以上のような事実に基づくと、平成元年4月14日の直前の借入残高を0円として計算するとは正当である。」として、貸金業者に貸付の事実の立証を求めた判決。
業者名:
クオークローン

平成18年12月20日 徳島地方裁判所 判決

要旨・解説:
借主の「文書提出命令を受けたにもかかわらず、平成5年3月13日より前の取引履歴を示す文書を提出しない結果、上記の期間については、被告による貸付の主張、立証がないのであるから、貸付残高がないものとして計算すべきである」という主張に対して、「番号1ないし15の入金については、被告から推計計算が不能であるとして貸付金額の主張、立証がないから、貸付残高がないものとして計算するほかない」として、一部の取引につき、残高無視計算を採用した判決。
業者名:
オリエントコーポレーション

平成18年7月20日 広島高等裁判所 判決

要旨・解説:
「全体として1個の基本契約の下に継続的な貸付・返済が繰り返されている場合、不当利得返還請求権者は、基本契約の存在、これを構成する各返済部分及び主要な貸付部分について主張立証すれば足り(なお、貸金業者が取引履歴の開示を拒んだがために上記の点が明らかにならない場合には、最終的には文書提出命令及びこれに基づく真実擬制の問題となる。)、それ以外に貸付部分が存在するのであれば、これについての主張立証は貸金業者がすべきものと解するのが相当である」として、貸付けなき返済計算を認めた判決。
業者名:
オリエントコーポレーション

平成18年7月13日 大阪高等裁判所所 判決

要旨・解説:
「取引履歴を保管している、ないし保存管理が十分可能な貸金業者である控訴人においては残高の主張、立証が容易であるのに比し、一顧客である被控訴人に対して残高の主張、立証を求めることは困難を強いるもので取引の実情にそぐわないものでもあり」「同時点での債権の存在については貸金業者において負うものと考えられる」として、当初貸付残高を存在しないものとして計算した判決。
業者名:
CFJ

平成18年7月11日 東京地方裁判所 判決

要旨・解説:
不当利得返還請求権に基づき過払金を請求する場合、借主としては、金銭消費貸借契約を特定し、その間の取引履歴を主張し、弁済の事実を立証すれば足り、他方、被告は、原告による弁済金が法律上の原因を欠くものではない、すなわち貸金債務が存在し、その弁済として受領したことを主張立証しなければ、借主の請求を排斥できない。・・借入については、被告に主張・立証責任があるというべきであるとして、貸付けなき(貸付無視)計算を認めた判決。
業者名:
オリエントコーポレーション

平成18年6月30日 松山地方裁判所 西条支部 判決

要旨・解説:
「借主と貸主の法律知識及び記録の保管能力の差、主張立証責任における実質的な公平の観点、東京証券取引市場1部上場企業である被告が、貸付記録のみ保有していないということは明らかに不合理であることから」 「貸金業者が支払額の取引履歴のみを開示し、貸付残高や貸付の履歴を開示していない本件のような場合、借主は、明らかになっている支払額をもって損失とし、同額をもって貸主である被告の利得が生じたものとして主張立証すれば、不当利得返還請求権の要件事実を満たすものと解し、具体的な貸付についての事実(貸付日、貸付金額、貸付条件等)が存在し、支払額が弁済として充当されて損失や利得が消滅あるいは減少している事実については、貸主に主張立証責任がある」として、貸付けなき返済(貸付無視)計算を認めた判決。
業者名:
オリエントコーポレーション

平成18年6月29日 福岡地方裁判所所 判決

要旨・解説:
過払金請求訴訟においては、貸付けの事実及びこれに対する利息制限法所定の制限利率を超える利息の支払いの事実を主張すれば足り、同一当事者間において貸付け及び返済が繰り返されている場合には、原告において過払となっている期間の取引経過を主張することになり、借入残高が存するとの主張は、上記事実に対する積極否認になるとして残高無視計算を認めた判決。
業者名:
モデルクレジット

平成18年6月5日 富山簡易裁判所 判決

要旨・解説:
「不当利得に基づく利得金返還請求において、平成5年10月7日以降の金銭消費取引において生じた過払金の返還を求める借主としては、同日以降の取引経過につき主張立証しなければならず、かつ、それで足りる。/したがって、借主には、平成5年10月6日以前の金銭消費貸借取引についての主張責任はなく、もし貸主が、同取引に基づく債権が存在するとして、原告請求の過払金額について争うならば、貸主において、同債権の存在につき主張立証しなければならない」として残高無視計算を認めた判決。
業者名:
GEコンシューマー・ファイナンス

平成18年1月26日 大阪地方裁判所 判決

要旨・解説:
貸金業者である被告が、平成6年5月4日より前の貸付の事実につき具体的に立証しない上、貸付けなき返済計算方法を採用せざるを得ないというべきあるとして、残高無視計算を認めた判決。
業者名:
オリエントコーポレーション

平成17年11月30日 大阪地方裁判所 判決

要旨・解説:
借主が、現に返済をしていることが証拠(預金通用)上明らかなところ、貸金業者側において貸付の裏付証拠を提出できない以上、貸付けなき返済計算をすることを是認せざるを得ないとして、残高無視計算を認めた判決。
業者名:
オリエントコーポレーション