判例・学説にも言及
平成23年8月19日 名古屋地方裁判所一宮支部判決
- 要旨・解説:
- 借主が最低返済額及び経過利息を毎月支払っていった場合、いつ完済するか把握できず、法が規定する「返済期間及び返済回数」が記載されておらず、これに準ずる事項の記載もないこと、実務は17条書面の記載事項の一部でも欠けていた場合みなし弁済を認めないとする消極説によっていたこと、みなし弁済の成否や適用要件については下級審の多くも学説の多数も厳格説が多数であったこと等からアイフルを悪意の受益者とした。
- 業者名:
- アイフル
平成23年3月17日 名古屋地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 特段の事情の立証については、書面交付体制の構築の立証では足りないとし、17条書面について返済期間及び返済回数、返済金額の記載について被告の行っていた記載内容で足りるとする下級審判決が多数を占めていたとは認められないこと、18条書面について契約年月日の記載がないが、これについて被告の行っていた記載内容で足りるとする下級審判決が多数を占めていたとは認められないことを指摘し、特段の事情を否定した。
- 業者名:
- アイフル
平成23年3月4日 岐阜地方裁判所大垣支部判決
- 要旨・解説:
- 取引の大部分について17条書面、18条書面の要件を満たす書面が交付されていないことを指摘して、要件を厳格に充足しなくても良いという見解を是認した裁判例が相当数あったとか、上記認識に一致する学説が有力であったと認めるに足りる証拠もないとして、特段の事情を否定した。
- 業者名:
- プロミス
平成23年2月25日 京都地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 取引の大部分について17条書面、18条書面の要件を満たす書面が交付されていないことを指摘して、要件を厳格に充足しなくても良いという見解を是認した裁判例が相当数あったとか、上記認識に一致する学説が有力であったと認めるに足りる証拠もないとして、特段の事情を否定した。
- 業者名:
- プロミス
平成23年2月15日 名古屋地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- ハイバランスリボルビング方式について、返済回数及び返済期間や返済金額を記載した17条書面を作成することは不可能であるが、それによってこれらの記載義務を免れないとし、これらに準じる事項の記載もないから17条書面の要件を満たさないことを指摘し、特段の事情を認めるためには、被告の見解が当時通説でありこれと異なる解釈をすることが期待できなかったことを要するとしたうえで、このような事情は認められないとした。
- 業者名:
- アイフル
平成23年1月25日 さいたま地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 返済期間・返済回数の記載がなくとも見なし弁済の適用があるとの見解が学説上通説的な見解であったとは認めがたいこと、昭和58年9月30日蔵銀第2602号「貸金業者の業務運営に関する基本事項について」や金融監督庁事務ガイドラインないし金融事務庁ガイドラインにおいて、リボルビング方式では返済期間や返済回数の記載が不要だとの明言があるわけでもないことから、特段の事情は認められないとした。被告について、平成17年1月25日最高裁判決の求める返済期間、返済回数、返済金額が記載されていなかったことを被告が自認していることを指摘し、これらを欠いても特段の事情を認めるためには、これらの記載が不要であるとの見解をとる裁判例が相当多数数あったとか、上記認識に一致する学説が通説であったというような合理的根拠があることが必要として、特段の事情は認められないとした。
- 業者名:
- アコム
平成23年1月21日 名古屋地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 返済期間・返済回数の記載がなくとも見なし弁済の適用があるとの見解が学説上通説的な見解であったとは認めがたいこと、昭和58年9月30日蔵銀第2602号「貸金業者の業務運営に関する基本事項について」や金融監督庁事務ガイドラインないし金融事務庁ガイドラインにおいて、リボルビング方式では返済期間や返済回数の記載が不要だとの明言があるわけでもないことから、特段の事情は認められないとした。悪意でないことについて特段の事情を認めるためには、被告の見解が当時通説でありこれと異なる解釈をすることが期待できなかったことを要するとして、被告が17条書面としてATMでの返済時に発行していた書面について、リボルビング契約では「返済期間及び返済回数」、「返済金額」の記載が困難であったことを指摘し、そうであってもこれらを欠く書面でも17条書面の要件を満たすという見解が通説であったことを示す証拠はなく、当時の下級審判例は分かれていたことが顕著であるとして特段の事情を否定した。
- 業者名:
- アイフル
平成23年1月21日 大阪地方裁判所岸和田支部判決
- 要旨・解説:
- 返済期間・返済回数の記載がなくとも見なし弁済の適用があるとの見解が学説上通説的な見解であったとは認めがたいこと、昭和58年9月30日蔵銀第2602号「貸金業者の業務運営に関する基本事項について」や金融監督庁事務ガイドラインないし金融事務庁ガイドラインにおいて、リボルビング方式では返済期間や返済回数の記載が不要だとの明言があるわけでもないことから、特段の事情は認められないとした。
- 業者名:
- CFJ
平成23年1月20日 名古屋地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 被告が17条書面としてATMでの返済時に発行していた書面について、平成8年2月までのものについて「返済期間及び返済回数」、「返済金額」の記載がないこと、平成10年9月以降のものについて、最終回までの各回の返済金額や返済期間が分かるようになっていないとして、リボルビング方式の場合にこれらを不要とする見解が下級審判決において多数を占めていたとは認められないことを指摘するとともに、18条書面について契約年月日の記載がないことを指摘し、18条書面について顧客の請求がない限り交付を要しないとの見解は当時の下級審判決において多数を占めていたとは認められないことを指摘して、特段の事情は認められないとした。
- 業者名:
- プロミス
平成23年1月6日 岡山地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 被告が17条書面として交付していた書面について、「返済期間及び返済回数」の記載がなく17条書面にあたらないことを指摘し、リボルビング払いであれば17条書面にこれらの事項が不要との裁判例があったという事情は裁判所に顕著だが、それが相当数有ったとまで認める証拠はないとして、特段の事情を否定した。また、貸し付けないし返済のうち一部について17乗書面ないし18乗書面が交付されていたとしても、全体について43条1項の適用要件を欠くものであり、当該部分を含む全体について悪意の推定が及ぶとした。
- 業者名:
- アコム
平成22年12月24日 神戸地方裁判所尼崎支部判決
- 要旨・解説:
- 被告が17条書面として交付していた書面について、少なくとも平成14年8月以前は「返済期間及び返済回数」と「返済金額」の記載がなく17条書面にあたらないことを指摘し、17条書面にこれらの事項が不要との見解や判例が多数であったという事情は認められないとして、特段の事情を否定した。
- 業者名:
- アイフル
平成22年11月30日 名古屋地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 悪意でないことについて特段の事情を認めるためには、被告の見解が当時通説でありこれと異なる解釈をすることが期待できなかったことを要するとして、被告が17条書面としてATMでの返済時に発行していた書面について、平成14年10月までは「返済期間及び返済回数」、「返済金額」の記載がないこと、それ以降も毎回の返済金額が不明なことを指摘し、このような書面でも17条書面の要件を満たすという見解が通説であったことを示す証拠はなく、当時の判例・学説は分かれていたことが顕著であるとして特段の事情を否定した。
- 業者名:
- プロミス