法定記載事項の記載なし
平成23年8月12日 名古屋高等裁判所第三民事部
- 要旨・解説:
- 平成14年10月1日までは、17条書面に「返済期間及び返済回数」「各回の返済金額」の記載を欠いていること、返済によって減少する元本に対する各回の経過利息を算出することは一般に債務者にとって困難であること等を理由に、プロミスを悪意の受益者とした。元本均等リボ払いのプロミス、アイフルの主張を否定した判決。プロミスは、上告受理申し立てした。
- 業者名:
- プロミス
- 原審判決:
- 名古屋地裁平成22年11月30日
平成23年6月20日 東京高等裁判所判決
- 要旨・解説:
- 原判決がプロミスの悪意の受益者性を認めて借主の請求を全部認容したのに対して、プロミスが控訴した事案。基本契約書には「貸付金額」「返済期間及び返済回数」の記載がなく、また、個別貸付時の明細書は「サンプル書面」のみであり、その「サンプル書面」にも「貸付の利率」「返済の方式」「返済期間及び返済回数」の記載がないこと、18条書面についても「サンプル書面」を提出しているにすぎず、「契約年月日」「契約番号」「貸付金額」「貸金業者の登録番号」などの記載がないものがあることから、いずれも17条書面及び18条書面としての要件を充足せず、貸金業法43条1項のみなし弁済が成立するものと認識するに至る「特段の事情」は認められないとして、プロミスの悪意の受益者性を認め、控訴棄却した。
- 業者名:
- プロミス
- 原審判決:
- 東京地裁立川支判平成23年2月24日
平成23年3月22日 大阪地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- 17条書面の法定記載事項のうち「返済期間及び返済回数」について、リボルビング契約の場合であっても記載を省略してよいものではなく、最低返済額及び経過利息を約定返済期日に返済する場合の返済期間及び返済回数を記載すべき義務があり、漫然とこれを記載しなかった場合、貸金業法43条1項の適用があると認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情があるとはいえないとして、アコムの悪意の受益者該当性を認めた。
- 業者名:
- アコム
平成23年3月17日 横浜地方裁判所小田原支部判決
- 要旨・解説:
- CFJが交付した書面には17条書面の記載事項である「返済期間及び返済回数」が記載されていないので、貸金業法43条1項の適用要件を欠くことになり、特段の事情もないとして、CFJを悪意の受益者と認めた。
- 業者名:
- CFJ
平成23年2月18日 高知地方裁判所判決
- 要旨・解説:
- リボルビング方式の取引の場合、確定的な「返済期間」「返済金額」等の記載に準じるものとして、個々の貸付けの時点における残元利金について、最低返済額を返済期日の末日に返済する場合の返済期間、返済金額等を17条書面に記載すべき義務がある。本件の基本契約書には一定の返済期間内に、あらかじめ定められた最低返済額以上の金額を支払うべき旨の記載が、個別貸付書面には、貸付金残高、次回返済額及び次回支払期限の記載があるのみであり、返済期間、返済金額等の記載に準ずる記載があると解することはできないから、貸金業法43条1項の適用要件を欠く。また、要件を充足する17条書面を交付しておらず、アコムにはその認識があり、特段の事情は認められないので、アコムは悪意の受益者であると判断した。
- 業者名:
- アコム
平成23年2月15日 新潟地方裁判所長岡支部判決
- 要旨・解説:
- 「ATM領収書兼ご利用明細書」には、返済期間、返済回数、貸付けの利率等の記載がなく、また、そもそも「ATM領収書兼ご利用明細書」は17条書面及び18条書面を再現したものにすぎず、しかも取引の一部についてのものしかないことから、本件取引に17条書面及び18条書面が交付されたと認めることはできないので、貸金業法43条1項のみなし弁済が成立するとは認められず、また、アコムが同法の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情も認められないとして、プロミスは悪意の受益者であると判断した。
- 業者名:
- プロミス